ある再開発で、その店舗デザインの説明を聞いて驚いた。ファッションショーの解説かと思うほどカタカナ語の連発で、私には正確な意味が半分もわからなかった。おそらく同業者以外の人々には十分理解できなかっただろうと思う。
これに近い話はいくらでもある。厚生白書を開いてみると、固有名詞や広く一般に使われているもの以外に実に多くのカタカナがあふれている。以前はもっとひどくて平成5年版(A5版)では1頁に20か所以上現れる頁が無数にあった。この事が閣議で問題にされたそうで最近は少しはましになっている。
カタカナ語の中には、イベントやプロジェクトなどの名称に始まって、その特徴や新鮮さを誇示したいことが多いのもわかるし、私達も無意識で使うようになるが、意味がきちんと伝わらないと困る。とりわけ専門用語は慎重に扱いたい。
さて手はじめに厚生省用語の「ゴールドプラン」について。これは昭和62年の「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的な考え方と目標について」(厚生省・自治省)を受けた実施計画のことで、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」(平成元年10月)の正式な略称である。翌年から予算化されて平成2年度(1990年度)が初年度になった。5年経過した時点で計画の見直しを行って目標の内容や数値を拡大したので、後半の5年については「新ゴールドプラン」と呼んでいる。
建築に直接関係のある主なものを示す(→は新コールドプランによる修正値)。
特別養護老人−ム 24万人→29万人
老人保健施設 28万人
軽費老人ホーム(ケアハウス) 10万人
高齢者生活福祉センター 400か所
デイサービスセンター 1万か所→1.7万か所
[近畿大学 片倉健雄]
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