住宅品質確保促進制度(仮称)

欠陥住宅をめぐるトラブルの解消をねらって建設省が平成11年の通常国会に上程しようとしているのが住宅品質確保促進制度(仮称)である。
この法案のスキームは @住宅の性能表示の整備 A住宅の瑕疵保証の充実 B住宅の紛争処理体制の充実 で構成されており、このうち@については販売者が販売契約の際にその建物の性能を13項目についてカタログ等に表示し契約の条件としようとするもの、Aは従来、契約約款によって1年または2年の瑕疵担保期間とされてきたものを基本構造部および漏水については法律により一律に10年と定めようとするもの、Bは性能表示制度を採用した住宅について紛争が生じた場合の紛争処理機関を新設するというものである。
 これは言わば「住宅版PL法」とも言うべき内容のもので、現在住宅メーカーや販売業者、建築業協会などに意見を徴している段階であるが、業界側は自分たちの負担が大きいとして抵抗を示しているという(98.12.7朝日新聞)。この法案がそのまま通れば瑕疵責任については屋根や床、柱など基本構造部分を対象として、一定の基準を超える欠陥が見つかった場合、業者側に落ち度がないことを証明できない限り無償修理などが義務付けられる。瑕疵保証を充実させること自体は消費者保護の視点から見て真摯に取り組むべしとしながらも瑕疵基準となるひびわれ幅を規定することやシールの瑕疵保証期間を10年にすることなど技術的な観点からみて厳しすぎる内容というのがその理由である。そのほかに
性能表示項目についても、特に遮音性能については性能の妥当を証明することが技術的にも経済的にも問題があるとしており今後の動向が注目される。

[フジタ技術部  川本正昭]