HACCP

 ここ最近、食品メーカーとの会話の中で「HACCP」という言葉を耳にすることが多くなってきました。「HACCP」とは、Hazard Analysis Critical Control Point の略称で、ハセップまたはハサップと呼ばれています。1960年代に米国で宇宙食の安全衛星管理方式として考え出された、食品の自主管理手法です。
 HACCPによる衛生管理の手法は、従来の最終製品の検査に重点をおいた方法とは異なり、消費者が飲食によって健康を害したりその恐れのある問題点を、原料から製造工程にわたってリストアップし、重要管理点を設定して工程ごとにチェック・記録に残して安全衛生管理を行うシステムです。現在、厚生省でシステムの承認を行っている業種は、牛乳、乳製品、食肉製品、レトルト食品、魚肉練り製品の製造ですが,今後対象品目が拡大するといわれています。また、承認制度の対象品目以外でも外食産業、スーパーなどのCI効果・流通の差別化による販路拡大のためHACCPに対応している業種もあります。
 建設業とHACCPとの関連は、食品工場の施設面を含めた衛生管理の見直しの必要性から、人・製品・資機材などの動線や間仕切・内装の検討、施設ゾーニングや電気・給排水・空調などの設備改修、メンテナンス体制の拡充などが求められています。経営者や施設管理者とのコミュニケーションを図り、食品づくりのノウハウをベースにした衛生管理手法の立案や施設配置・設備計画など、ソフト・ハードの両面を充実させる必要があります。食品関連業界は裾野が広いので、今後HACCPがビジネスに結びつくキーワードのひとつになりそうです。

[フジタ設備設計部  遠藤 健]