LCCO2

 建築の世界においても、環境問題が大きくクローズアップされている。環境問題は、建築内部のシックビルの問題から地球規模の温暖化問題まで広範にわたっており、建築に係わる我々にとって大きな課題となっている。特に温暖化問題に代表される地球環境問題はその解決方法の困難さと、健全な環境の次世代への継承という観点から、世代間の倫理的課題とさえなっている。建築が環境に対する負荷(環境負荷)となることは、否定できない事実でありできるだけ個々の建築を環境低負荷なものとすることが求められている。

 1980年代までは、環境といえばエネルギー消費量低減が主たる目標とされ、省資源や省コストなどSavingが主役であった。90年代に入って、地球規模でのエネルギー消費の飛躍的な増加はグローバルエコバランスに影響を与える結果となり、今までのエネルギー評価に加えて、環境負荷評価が欠かせないものとなっている。

 現在、環境の視点から建築を評価する方法はLCA(Life Cycle Assessment)と総称され、ライフサイクルで各種環境負荷を定量評価する手法が提案されている。特に、温暖化の主要因とされる二酸化炭素(CO2)のライフサイクル排出量については、LCCO2(Life Cycle CO2)の算定法がほぼ実用可能な段階となっている。具体的な動向として、今年一般に公表された建設省グリーン庁舎計画指針(環境配慮型庁舎計画指針)がひとつの方向性を示すものであろう。

 建築を環境に配慮したサスティナブルなものとするためには、高度な技術のみに依存するのではなく、まず風・光・緑など自然との接点を考え、長く親しまれ使われる建築を造ることを原点として、技術的検証と評価による裏付けを行うデザインプロセスが今新たに求められている。