■第100回■ BCM・BCP

 ここ数年の大きな地震において、自社施設に大きなダメージを被り、企業としての存続が危ぶまれた企業もあれば、逆に自社施設の耐震性能に投資を行っていた結果、大地震後も通常通り事業を継続することができたことにより脚光をあびた企業があります。
  このことにより、最近BC(事業継続:Business Continuity)という概念が注目されています。BCM(事業継続管理:Business Continuity Management)とは、災害時のリスクに遭遇しても、事業を継続させるために、継続的に維持管理していくBCの管理のプロセスを指し、BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)の策定から始まり、その運用や教育・訓練および点検・是正処置の各プロセスを含みます。
  ここでBCPとは、BCを達成するための計画であり、災害等のリスクに備え、事業を継続させるために必要な事項を整理した計画のことです。BCPが対象とするリスクは自然災害だけでなく、テロによるリスク等もありますが、たとえば地震災害を例にとって見れば、まず建物の設計仕様、立地条件、劣化状況、運用実態など、建物オーナーへのヒアリングや図面調査により想定される建物の被害状況を予測します。予測された被害状況を基に、免震化による地震リスクの低減等の対策の立案を行います。工場等を各地方に分散配置しPML(地震予想最大損失額)を低く抑えることも有効な対策のひとつであると考えられます。

[建築情報委員会 嶋崎 敦志]