■第101回■ 高耐候性電着クリアー塗装

 アルミサッシやアルミカーテンウォールにこれまで多く採用されてきた陽極酸化塗装複合皮膜には、陽極酸化皮膜または二次電解着色の上に、アクリル系のクリアー塗料を電着塗装した表面処理(透明系)と酸化チタンなどの白色顔料入りのアクリル系塗料を電着塗装した表面処理(着色系)等がある。
電着塗装とは陽極酸化皮膜または二次電解着色の工程に連続して水溶性アクリル樹脂塗料中に形材を浸漬し、形材を陽極として対極との間に電流を通じることによって表面に樹脂を泳動させる塗装方法で最後に焼付乾燥を行う。
最近、大手サッシメーカーでは、塗膜の主要な劣化因子である水や紫外線などによる塗膜樹脂の分解を抑える目的で、劣化防止剤の添加や樹脂分子間の結合力を増強することにより、従来のアクリル系の電着クリアー塗装に比べ耐候性を向上させた高耐候性アクリル電着クリアー塗装(艶消)を開発している。キャス試験(JISH8681に規定するキャス試験機により銅塩を含む酢酸酸性の塩水溶液を噴霧し、試験時間による腐食発生の変化を調べる)やサンシャインウェザーメーター試験(JISB7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を用い試験時間による光沢保持率の変化を調べる)にて、従来のアクリル系の電着クリアー塗装に比べ約2倍の耐候性を確認している。
現在。大手サッシメーカーでは、高耐候性電着クリアー塗装がほぼ出揃い、従来のアクリル系の電着クリアー塗装から全面的に切り替わって行く状況にある。

[建築情報委員会 豊永 秀男]