光触媒と親水性


 最近、外装に光触媒を利用した低汚染型の製品が注目されている。これは、光触媒による「有機物分解」と「超親水性」の二つの効果で、雨水によるセルフクリーニング機能を期待したものである。「光触媒」とは、光エネルギーを化学反応エネルギーに変える半導体触媒のことで、代表例として酸化チタン(TiO2)がある。この酸化チタンに紫外線が当たると空気中の酸素及び水と反応して、表面に活性酸素を生成し、各種の有機物を炭酸ガスと水に分解する働き「有機物分解」と水とのなじみが非常によい−OH(親水基)が出来ることによる「超親水性」の働きを同時に合わせ持つことになる。親水性とは、水が表面に濡れ広がる現象をいい、水接触角が一般的には40度以下程度を親水性、10度以下程度を特に超親水性と呼んでいる。

 つまり、建物に付いた汚れを光触媒によって分解し、付着力を弱め、超親水性によって雨が汚れの下に入り、汚れを浮かせて洗い落とすセルフクリーニング効果を期待するものである。 
 現在、外装材では、表面に酸化チタンをコーティング(焼付膜厚0.1ミクロン程度)した超親水性の外装タイルが商品化されている。また、ガラスについても開発が進んでいる。 塗料については、フッ素樹脂等の高耐久性塗料の低汚染型塗料が開発されて商品化されている。
 これは、シリケート化合物によって親水性(水接触角40度程度)をもたせたものが主流である。現在、酸化チタンの光触媒を利用した超親水性の商品の開発も進んでいる。          

        〈竹中工務店設計部 豊永秀男〉