日本でテレビ放送が始まったのは昭和28年、それから7年後にカラーテレビ放送が始まった。テレビ放送開始から半世紀経った今、日本の放送界はデジタルテレビ放送という新たな変革期を迎えることになる。
欧米では1998年9月にイギリスで世界初の地上波デジタルテレビを開始したのに続き、アメリカでも同年11月に10大都市圏で地上波デジタルテレビを開始した。世界の大勢がデジタルへ向かう中で、日本でも郵政省が積極的に導入の方向を打ち出しており、1996年の通信衛星(CS)のデジタル放送開始に続き今年には放送衛星(BS)でデジタル放送が始まるほか、地上波デジタルテレビの試験放送開始も予定されている。
従来のアナログ放送は1つの電波には1つの映像しか乗せられず、音声は別の電波で送る必要があった。これに対し、デジタル放送は1つの電波に複数の映像や音声を乗せられるほか、文字・図形・静止画・コンピュータデータなどの各種情報データを送ることができる総合デジタル放送(ISDB)が可能である。
具体的には、高精細度・高品位な映像とサラウンド音声による放送(デジタルハイビジョン放送)をゴーストのないクリアな映像で家庭で楽しむことができるばかりか、移動中の車内でもクリアな映像を観ることができる。また24時間いつでも天気予報を見たり、スポーツ中継では好きな選手だけを追ったり、過去の成績を取りだしてみたりできるほか、字幕放送サービスも受けられる。そして最大のサービスは双方向通信を利用したテレビショッピングやチケット予約ができることである。
テレビ放送が誕生して50年、カラーへは進化したが「片方向」であることに変わりはなかった。「双方向」が可能なデジタルテレビ放送はまさに21世紀のマルチメディア放送といえる。
〈住友電設資材部 中田 敝〉