■ フラクタル |
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フラクタルとは、〈自己相似性〉或いは〈入れ子構造〉の事である。電子が原子核の周りを回っているのと同様に惑星が太陽の周りを回っている。又、排水口にできる渦巻きと銀河系の渦巻きも驚く程同様の形といえる。自然界のどこにでもある海岸線、雲、樹木、稲妻、ガラス面にできる雨のしずく、コンクリートのひび割れまでノンスケールの世界では、全体と部分が非常によく似ている。これが〈自己相似性〉であり、ラテン語の「砕けた石」を意味する「FRACTUS」より名付けられた「フラクタル」(Fractal)である。
フラクタル理論は、1975年にフランスの数学者ベノア・マンデルブローによって提唱された幾何学で、複雑に見える自然現象も単純な操作を繰り返し代入する事により表現できることを示した。スケールと長さの関係を対数で現わすフラクタル次元においてはコッホ曲線が1.26次元、ペアノ曲線が2.0次元で示され、海岸線は1.1〜1.4次元、地震の震源分布は約1.4次元とされる。
秩序と無秩序の中間的な部分を説明しようとするこの様な考え方は、従来の科学に対する還元主義的な態度(全てを方程式で示そうという態度)とは対立する、全体論的態度(自分自身が自然の中の一部であるという相互依存関係を重視した科学観)への変化を促している。
昨今のコンピュータグラフィックスの進歩もあり様々なフラクタル図形や画像がインターネット上にも紹介されており、「YAHOO!」においてキーワードとして「フラクタル」を検索してみると、7,400件をこえるホームページが存在している。
〈青山建築設計事務所 青山昭治〉