中核市と特例市

 政令指定都市は1956年にできた制度で、現在全国で12市がほぼ府県並の行財政権を持っていることはよく知られている。これに1994年から「中核市」が、1999年には「特例市」が新たに加わってその指定を受ける都市が増えてきている。その違いと都市・建築行政との関係、現在の指定状況などをひろってみる。
「中核市」は政令指定都市に準じて府県から事務委譲を受けるもので、福祉・保健や都市計画など、政令指定都市の約2/3程度である。指定の基準は、人口30万人以上、面積100km2以上で、地域の中核的都市機能をもつものとされている。1996年の1次指定で12市(宇都宮、新潟、富山、金沢、岐阜、静岡、浜松、堺、姫路、岡山、熊本、鹿児島)が、97年の2次指定で5市(秋田、郡山、和歌山、長崎、大分)、98年の3次指定で4市(豊田、福山、高知、宮崎)が既に指定済であり、次いで6市(旭川、いわき、長野、豊橋、高松、松山)が予定されており、これを加えると計27市になる。
「特例市」はさらに地方分権を進めるために設けられたものであるが、その権限は中核市よりずっと少ないが、その中に都市計画、区画整理、騒音規制などの事務委譲が含まれる。対象となるのは、人口20万人以上で全国で59市あるが、昨年(平成12年)11月1日にまず10市が移行し、今年4月には20市が予定されている。(近畿2府4県では、大津、豊中、枚方、茨木、吹田、八尾、寝屋川、尼崎)。他にも申請準備中(同、明石、加古川)または中核市へ直接移行することを意図している市(同、高槻、東大阪)もある。
指定が決まった市では例えば開発許可を自市の審査会で行うなど、府県を経由しない事務がスタートしている。また、この制度によらずに、保健所の設置など一部の権限の委譲を受けているものがある。


<片倉 健雄〉