リバースモーゲージ(reverse mortgage)

 

リバースモーゲージは、地方自治体に在宅福祉政策の1つとして取り入れられ、民間の信託銀行が商品化している。高齢者が資産を担保に老後の生活資金を得る方式である。武蔵野市で1981年に全国に先駆けて導入され、2000年11月現在実施している主な自治体は、東京都の12区と大阪市、伊丹市、藤沢市、神戸市である。日本の超高齢化社会は欧米の先進国でも比較にならない早さで進んでおり、厚生労働省の調査によると2015年頃には、4人に1人が65才以上になることが予測されている。 戦後高度成長時代を生き抜き、2度のバブル経済を経験し、子育てを終えた高齢者層は高い財産形成を達成し高い持ち家比率を有している。しかしながら、高齢者にとってはバブル崩壊後の資産価値の下落と介護保険の導入や、社会保障など先行きが見えないのが現実となっている。悠々自適の生活を送っているように見える印象であるが、以外にも子育て時の広い住宅で、高齢者単独世帯、夫婦世帯ともに生活が苦しく、維持管理、リフォームなどの経費に大変な思いをしているようである。これに対し子育てで広い家が必要な若い世代に広い持ち家を貸したり、売却することは双方にメリットがある。高齢者世帯は、その収入で老後の住宅は、バリヤーフリーに配慮した駅や病院、ショッピングセンターなどの商業施設が近くにある、便利で充実した生活が選択できる。 厚生労働省と年金福祉事業団は、高齢者が自宅不動産を担保に死亡するまで年金の形で融資を受けられる「リバースモーゲージ制度」に関する報告書にまとめているように、不動産の評価額に応じて年金融資を受ける具体的な融資例をシミュレーションし、不動産の売却に伴う課税など早急に配慮すべき問題がのこされている。

 〈安井建築設計事務所 武田正一〉