地震や洪水などの自然災害による影響を、建物の敷地ごとに予測することができれば、具体的な対策がとりやすいし損害を最小限にすることができる。
このようなねらいから、@実際の被害状況を地形図の上に示したもの(例えば河川の氾濫や集中豪雨による浸水状況や地震による津波の範囲など)、A地形や過去の災害事例からみて今後被害が生ずる可能性の大きい個所を地形図に表わしたもの(例えば地すべり、がけ崩れ、土石流の範囲など)がある。前者は災害地図(disaster map)であり、後者には「急傾斜地崩壊危険区域なども含まれる。
市街地に傾斜地や山麓部を含む自治体では、このような地図を作成するところがふえつつある。
例えば神戸市では毎年各区の「土砂災害危険予想個所図」を全戸に配布している。この元になる地図は1:5,000で、国土交通省六甲砂防工事事務所と兵庫県、神戸市が連絡会を持って、いくつかのデータを重ね合わせて作ったものである。
このようなものとは別に断層地震につながる活断層図がある。神戸市ではずっと以前からこれを作成して閲覧ができ、現在は販売もしている。阪神・淡路大震災の後一般の関心が高まったので、国土地理院が「都市活断層図」1:25,000(全国主要都市)を編集・刊行している。これはその断層がいつ地震につながるかは
わからないが、可能性の有無を確かめることができる。このような地図の整備を重ねて各種の災害の実質的な予測につなごうとするものをハザード・マップ(災害予測地図)と呼んでいる。
東京都では区部について地震に対する「地域危険度」(5項目と総合評価)を500mメッシュで5ランクで表示したものを作成して販売している。
〈元・近畿大学 片倉健雄〉
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