現在、世界は「環境の時代」を迎え、全産業レベルで様々な取り組みが行なわれています。大量に生産したものを消費して廃棄するという社会から脱却して循環型社会を形成し、社会をより望ましい形で持続、発展させることの重要性が認識されてきています。限りある資源、エネルギーを大切に使い、安全で快適な生活環境を創造し、豊かな自然環境を次の世代に継承することは建築を業とする者にとっての責務とも言えます。
このような環境重視型の社会形成を推進するために、環境省により「環境物品調達推進法」(グリーン購入法)が制定され、2001年4月1日より施行されています。この法律は、国自らが率先して環境に負担の少ない物品を購入することを義務付け、地方公共団体には努力義務を、民間に対してはできる限りの購入を期待したものです。
グリーン調達とはグリーン購入法で特定された品を購入する活動ですが、広い意味では特定された品に留まらず、環境負担の少ない良好な品を購入する活動と言えます。指定されている調達品目は14分野、101品目に及んでおり、公共工事にはパーティクルボードなどの仕上材料、再生骨材などの構造材料、および低騒音型建設機械などの施工機械等、計11品目が指定されています。また、調達品目の保有すべき性能が規定され、使用の際に配慮すべき事項が明示されています。
建設業界ではグリーン購入法施行を受け、各社が独自に「グリーン調達ガイドライン」を策定し、設計から施工に至るまで、環境配慮型の資材や機械を採用することを推進しようとしています。建設業界の資材投入量は産業界全体の40%強に及ぶことを考慮すれば、グリーン調達活動の与える影響は大きく、環境配慮型の社会形成に大きく寄与するものと考えられます。
〈元・近畿大学 片倉健雄〉
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