屋上緑化

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国土交通省の屋上緑化推進や東京都が2001年4月から大規模事業所の新築ビルの20%屋上緑化を義務化したことなどにより屋上緑化への取り組みが本格化してきている。屋上を緑化することは緑に触れ合えることやくつろぎの場ができる事に加え、ビルの省エネや大都市部の気温が上がるヒートアイランド現象の解決策、大気汚染の浄化や雨水の流出抑制の効果がある。

しかし問題点として
@屋上緑化は重い土を載せるため強度上の制約。
A水漏れ対策。
B緑化に伴うコストアップ。
Cメンテナンス・維持管理費の増大。
などがある。

また、せっかく設けた屋上庭園などが維持管理されず枯木・枯草になることは都市防災上問題としても指摘されている。最近では、こうした問題に対し、軽量で保水性に優れる培養土、人工軽量土壌の開発による低コスト化や散水システムの開発により維持管理費を低減する各種の技術が開発されてきている。
一方、屋上緑化を活かす種々の手法として、四季を通じて楽しめる植生や屋上庭園でのイベント・市民開放するなど、又、緑化による屋上荷重を制振構造に活用するなどの試みも行なわれている。助成においても、各行政庁により種々の助成制度や低利融資制度を設けて、緑化の推進を図っている。豊かな都市環境をつくっていくために今後の課題としては、緑化に対し建築主の理解と積極的な取り組みが必要な事はもちろんであるが、計画提案する側にも初期の基本計画段階から、さらに低コストで緑化を構築する技術や維持管理の低減の工夫、ソフト面での企画提案が重要であると思われる。

[大林組設計品質管理部 佐藤和夫]