一般的には、「性能検証」と訳される。近年、建築設備、特に空調設備システムの分野で、世界的に注目されている言葉で、米国のASHRAE等では次のように定義されている。「システムが設計主旨に合致した性能を確実に発揮するよう、また、室内環境や都市、地球環境、エネルギー及び使いやすさの観点から、最適な状態に維持されるように、設計・施工ならびに機能試験が行われ、運転保守が可能な状態であることを確かなものとする一連のプロセスを言う。コミッショニングは、企画段階からはじまり、設計、施工、引渡し、運用、訓練の各段階を含む建物の全使用期間にわたって適用されるものである。」
建築設備の性能をライフサイクルにわたって最適に維持できるよう性能検証を継続的に行うという主旨で、第三者による実施が原則とされている。設計過程で言えば、第三者によるデザインレビューと考えるとわかりやすい。
コミッショニングを行う者は、コミッショニングオーソリティと呼ばれ、発注者に指名されてコミッショニング過程を実行する。設計過程では、発注者の要求性能を満たす設計図書となっているか、施工過程では、設計図書に示された仕様で施工がなされているか、運用過程では、要求性能を満足するシステムとなっているか、といった観点で検証が行われ、それに対してフィーが支払われる。リニューアル改修時のように、竣工後、何年も経て、あらためて建物性能の検証を行うというような場合も、コミッショニングのひとつと位置付けられている。
近年、日本においても、学識経験者が中心となって、建築設備関係の設計者、施工者、オーナー等から構成された研究グループを構成し、国際会議や国内委員会を通じて、コミッショニングの概念の啓蒙・普及活動が積極的に行われている。
[日建設計 設備設計室 丹羽英治]
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