豊かな地球環境を次世代に引き継ぐために、限りある資源の有効活用・地球温暖化の抑制などいわゆる「地球環境にやさしい」ということが社会全体の大きなテーマとなっています。
その問題に材料面から取り組もうとするものが「材料のエコマテリアル化」です。材料をより少ない環境負荷で製造・使用し、リサイクル性を付与しつつ、使用時の効用を大きくしていく方向にすることであり、日本で生まれた概念です。
建設廃棄物は重量ベースで全産業廃棄物の約6割を占めており、そのうちの4割がコンクリート塊です。材料のエコマテリアル化は多くの分野で進められていますが、コンクリートをエコマテリアル化できれば、地球環境に大きく貢献することは明らかです。
現状でエコマテリアルと言えるコンクリートは、建設廃棄物であるコンクリート塊より取り出した再生骨材を用いた「再生コンクリート」や都市ごみ焼却灰を利用した「エコセメント」などがあげられます。いずれも躯体に使用できる品質のものを製造することは可能ですが、一般に使用されているものよりコスト的に高いという問題があります。
今は経済性が優先されるため、これらの躯体への使用に対しては厳しい状況にあります。品質は落とさず、コストを抑えるよう、研究・開発は継続されていくことでしょう。しかし、地球環境への配慮が待ったなしの現段階で、コンクリートのエコマテリアル化を推進するには、補助金や規制緩和など行政の優遇措置がないと難しいのではと考えています。
[安井建築設計事務所 構造部
坪根正幸]
|