都市再生ファンド

都市再生事業を推進するため、官民が資金を出し合って事業に出融資する基金です。政府の2002年度補正予算で認められました。
日本政策投資銀行の基金と、国土交通省の外郭団体である民間都市開発推進機構の基金の2つがあります。政策投資銀は他の官民ファンド設立も検討、巨額資金が必要な都市再生の呼び水としたい考えです。官民ファンドが事業主体に出す資金は、通常の融資より元利金の返済順位が低い劣後ローンです。貸し倒れリスクが高いという点で出資に近い形となります。政策投資銀の枠組みを活用するため、政府支援に似た面があり、事業主体である特定目的会社(SPC)を信用補完します。
事業者はこの信用をバックに、社債を発行し機関投資家から資金を集めるほか、他の金融機関からも借り入れることが可能です。官民ファンドは、事業者にとって信用補完だけでなく、リスクの一部を肩代わりしてもらえる点で、比較的少ない出資で開発事業に参入することができます。
日本では、大規模開発を希望しても資金面で実現できないケースも多く、このようなリスクの高い事業に資金供給することで、事業全体の信用を補完し、民間事業者の資金調達を円滑にするのが狙いです。官民ファンドは官業の肥大化との懸念もあるため、民間金融機関にリスク管理手法など劣後ローン提供のノウハウを伝え、民間だけでもファンド設立ができるように後押しする考えです。
今後、この事業方法を導入して安易な再開発ブームが数年後に始まる可能性も考えられます。ただ、地域や住民を無視した無差別な大規模再開発の必要性は感じることができません。都市開発について社会全体で考える時期に来ているのではないでしょうか。

[東畑建築事務所情報企画部 横田淳子]