とうもろこし85粒でCD1枚ができる。一見、何の関係もない植物からプラスチック製品が作られる「植物プラスチック」が今、循環型社会にふさわしい技術として注目されています。
「植物プラスチック」は生分解性プラスチックの一種で、使用中は通常のプラスチックと同程度の機能を持ちながら、使用後は自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解され、自然に還ります。原料は、とうもろこし・さつまいも等で、その成分であるでんぷんや糖分から取り出した乳酸を結合させてできる「ポリ乳酸」を成形して作ります。特徴としては@植物を原料とするため、石油資源を節約できるA使用後は水と二酸化炭素に分解されるため、産業廃棄物の発生を抑制できるB燃焼させてもプラスチックよりも発生熱量が低く、全体として二酸化炭素の増加とはならない、等があげられます。植物は光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収して育つため、プラスチックにして使用後に燃やしたとしても、排出される二酸化炭素はもともと生態系に存在したもので排出増にはならず、地球温暖化につながらないとされています。
これまでテストプラントの段階にあった「植物プラスチック」は生産設備の拡充、品質の改良が進み、商業生産の段階になってきており、市場は2002年40億円の規模が2005年には200億円に伸びると予測されています。実用化されている製品にはCDの他、パソコンの外装材や自動車のフロアマットなどがあり、電気・自動車・繊維など多くの分野が製品開発に力を入れています。
建設分野でも、「植物プラスチック」技術により、新しい壁材・床材などが開発され、普及すれば、循環型社会の形成に寄与することが期待できるのではないでしょうか。
[竹中工務店設計部 河田康夫]
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