瑕疵:かし

新潟の朱鷺メッセ通路崩落事故から、住宅の雨漏れ・クラックにいたるまで、建築の世界では、様々な瑕疵と隣り合わせです。このため日常的な言葉ですが、特に最近よく聞く気がします。
瑕疵とは、欠点、きずの意味ですが、建築の場合は、通常、法律用語として、請負契約の瑕疵担保責任を負う欠点の意味で使われています。
請負契約における瑕疵の概念は、「完成後」の仕事の欠点で、出来上がりが「契約通り」でなく、次のような不完全な点を持つ事です。
@ 物の使い勝手が悪くなったり、見栄えが悪くなるなどの使用上の価値を下げる欠点
A 売買等の取引きの際に価格を下げる欠点
B 当事者があらかじめ定めた性質を欠く
建築の場合は、複雑すぎて全てを、契約書や添付の図面・仕様書で表現できないため、「契約通り」という内容が、瑕疵認否を難しくしています。これを避けるためには、問題となりそうな「契約内容」を予め明確にしておく事が必要です。当然全ての不具合が該当するわけではなく、原因が、発注、設計、施工、監理による場合は瑕疵になりますが、次の場合なりません。
@ 建物の不適切な使用が原因
A 経年的な減耗が原因
B 現在の工学的技術水準を超える不測の事象や不可抵抗力
契約が重視される時代になって、「言葉」で表現する事と、「言葉」の意味を理解する事が重要になっています。
参考:建築生産と瑕疵責任(社団法人 建築業協会建築法制特別委員会)

[大林組設計品質管理部 中川原正平]