アカウンタビリティ(ACCOUNTABILITY):説明責任

現在、いたるところで情報の開示がもとめられ、とくに公共事業に対するさまざまな情報の説明が、官公庁や地方自治体により納税者に対する行政サービスの一貫として行われています。このように社会の理解を得るための重要な活動としてアカウンタビリティは、位置づけられています。
 この言葉によく似た、インフォームドコンセントというのがあります。おもにお医者さんが、患者さんにたいして治療や投薬の効能などについて、事前にしっかりと説明し合意に達しておくこと。つまり、コミュニケーションの充実による相互理解と顧客サービスの向上がもとめられているのです。
 情報の共有は、同じ価値観や考え方によって、お互いの目的を効率よくさらには効果的に達成しようとする意味で、非常に大切なことです。建築においても、国土交通省がさまざまなアカウンタビリティの情報を発信しています。これらの情報は、社会や顧客などから疑問に思われそうな問題点や、これから話題になりそうなことがらについての説明が多く、どちらかというと少々言い訳がましいところも否めません。
 建築の寿命は、その設計者や施工者、さらには所有者や使用者と比較して一般的に長いのが普通です。良質なストックを残すことは今後の大きな課題であり、時間を超えて社会のなかで、その価値が検証されることになるのです。
 そこで、建築のデザインや施工時の考え方や可能性など、いわゆるコンセプトを専門家の高い知識としてのみ閉じこめるのではなく、広く社会の理解を得るアカウンタビリティを行うことは、建築界のさらなる発展に大きく寄与すると思われます。

[大阪市立都島第二工業高等学校建築科 山口繁雄]