■第68回■ リノベーション

 古い建物を新たな使用に耐え得るよう修繕、改造あるいは用途変更し性能を向上させることを『リノベーション(renovation)』といいます。
 
 世の中には似て非なる物が多々あるもので、『改修』の類で馴染みのある言葉にリフォーム(reform)があります。ではリフォームとリノベーションはどう違うのでしょうか。
英語のreformは元に戻す、修復といった意味があり、文字通り元の状態に戻すという意味です。リノベーションは、re(元に)+novation(新しくする) という意味から、「時代の変化に対応させて機能や性能を変更する」「性能を向上させる」「価値を高める」ということに重点を置いている言葉です。
こういった違いから、米国では古い建物の改修工事の際には、リノベーションという言葉が一般的に用いられているようです。
 
 私たちの周りには、築20年、30年のビルや、あるいは古民家、長屋、蔵などくたびれた古い建物が無造作に放置されているものがたくさんあります。この中には、躯体もしっかりしておりまだまだ使用に耐えられる物、歴史・伝統・文化的に価値のある物、キケンな物、いらない物・・・など様々なカタチで街に散在しています。
 
 地球環境に警鐘の鳴らされた今、スクラップ・アンド・ビルドからの脱却は、商業資本としてのストックもさることながら、環境保護を背負わされた現代人の宿命のようにも感じられます。
 
 現在、我々を取り巻く環境において、何をどう残し、どう使い続けるか、逆に言うと何を捨てるべきか、あるいは何を創り出すべきかと、その判断はとても難しそうに思われますが、あまり悲観的にならずに環境との対話に参加していきたいものです。

 [(株)平田建築構造研究所 山内義章]