■第70回■ 緊急地震速報

 『食事時、見ていたテレビ画面が突然変わり「震度6の地震波到達まで、あと20秒・19秒・・・」と無機質なアナウンサーの声がカウントを始めた。』。この時、あなたはどうしますか?
阪神大震災から10年を迎え、国連防災世界会議の開催など、防災に関する議論が高まっている中、地震被害を軽減するための情報として「緊急地震速報」が注目されています。
現在、気象庁の「震度速報」は地震発生後約2分で震度3以上の地域名と発生時刻が発表されていますが、大きな揺れが伝達された後の情報であるため、大きな揺れに対する対策を事前に講ずることはできません。
一方「緊急地震速報」は震源に近い地震計で得られた最初の小さな揺れを用いて、震源や地震の規模、各地の震度や大きな揺れの到達時刻を瞬時に推定し、あと何秒後に大きな揺れが到達するかを各地に事前に知らせて被害の軽減をはかろうとするものです。
この技術は1992年から「ユレダス」として鉄道分野で実用化され、2003年3月には内閣府・消防庁・国土交通省・気象庁を事務局とする検討委員会が設置されました。2004年2月には、関東から九州東岸までの地震観測施設80箇所が整備されたため、行政・放送等の分野の機関が参加して試験運用が開始され、地震発生情報から数十秒間に何ができるか、自動制御機器の活用・危険回避行動等についての検討が進められています。
東南海、南海地震が起こった場合、地震発生情報から大きな揺れが伝わるまでの猶予時間は大阪で20〜30秒と推定されています。「この貴重な時間をどう使うか」、今夜の家族会議のテーマにいかがでしょうか?

 [竹中工務店 設計部 河田康夫]