近年、企業の工場跡地等の再開発に伴い、重金属や揮発性有機化合物等による土壌汚染問題が顕在化している。また、土壌汚染対策法の施行により、企業としても本格的な対応が求められる状況になってきている。このような状況から環境ビジネスの側面においても土壌汚染浄化は注目されており、将来において発展的な産業として位置づけられ、低コストで環境に対する影響が軽度に抑えられる技術開発が求められている。
その中で「ファイトレメディエーション」は植物を使った環境修復技術として注目され、有害物質による土壌汚染の修復に活用され始めている。
ファイトレメディエーション(phyto- remediation)とは植物を意味する「phyto-」と修復を意味する「remediation」を結びつけた言葉であり、植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌や地下水から有害物質を取り除く方法を言う。
具体的には汚染土壌を分析し、含有される汚染物質の吸収に適合した植物を選定する。ヒマワリ、カラシナ、シダ等の選定した植物を汚染土壌で栽培し、根から有害物質を吸収させる。有害物質を溜め込んだ地上部は収穫し土地から有害物質を取り除く。また重金属の場合は汚染を取り除くだけでなく濃縮した重金属を抽出・回収することができ再生利用が可能である。
一般的な浄化手段として、汚染土壌を掘削後洗浄する方法や処分場へ廃棄する方法があるが、それらの土壌浄化技術に比べて低コストで長期間・広範囲にわたる環境の修復に有効であり、植物を利用することから省エネルギーで環境負荷も低減されるという利点を持っている。
[潟tジタ計画設計部 栗林 章]
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