■第74回■ 企業の社会的責任CSR

 「不祥事で 倫理 倫理の 鈴が鳴る」第一生命サラリーマン川柳より。
近年、企業の「社会的責任CSR」に対する関心が高まっている。企業は株主や取引先のみならず、そこに働く従業員、消費者、地域社会など多様なステークホルダー(利害関係者)に対して責任を果たすことが、これまで以上に社会から求められる。
CSRとは、Corporate Social Responsibilityの略で「企業の社会的責任」と訳され、
 @安全で品質のよい製品を提供することにより社会に貢献していく、
 A環境に配慮して事業活動を改善していく、
 B関連法規が遵守される組織を構築する、が具体例として挙げられる。
時代により定義は変化するが、今、必要であるCSRのひとつに「労働市場での女性の活用」がある。 女性は子どもが生まれると、会社を辞めるか続けるか非常に悩む。例えば出産とともに退職し、子どもがある程度成長すると再就職。 これもパートタイムとなるケースが多く、かつての教育訓練が生きない。
出生率の低さを考えれば、企業は保育関連のサポートを充実させ、女性が出産後も会社にとどまれる、もしくは休職しても復帰し能力を生かせる方策を考える必要がある。 と同時に高齢者の処遇である。世界最長の平均余命を考えると60歳定年は早いのでは?CSR先進国のイギリス・フランスでは、CSR担当大臣を設置するなど、官民一致の協力体制が整えられている。日本の場合、政府主導よりも、業界の自主規制等のソフトな規制を望んでいるようである。 ただし、どこが規制しようとも、形式だけで実が伴わないと、ステークホルダーには簡単に見抜かれてしまう。
 期待を裏切るような不祥事が起こると大問題となる。この場合、対応の仕方によりその企業のCSRのレベルも明確になるのである。
 単純だが、すべてにおいて誠心誠意な対応。これが日本の基本ではないか。



[東畑建築事務所 横田淳子]