■第75回■ IB「ポリイソブチレン系シーリング材」

 シリコーン系にせまる高い耐久性を基本物性としながら、シリコーン系の問題点とされていた汚染性が大幅に改善された新しいタイプの建築用シーリング材である。
 シリル基を末端にもつポリイソブチレンを主成分とした2成分形シーリング材で、基材の主成分であるポリイソブチレンが硬化剤に含まれる触媒によって反応して硬化する混合反応硬化形である。
 1998年に国内生産が開始され、2004年5月発行の日本シーリング材工業会の「建築用シーリング材ハンドブック」に新たに記載された。
 シリコーン系シーリング材に較べ外装を汚すことが少ないことから採用の実績が徐々に増えており、今後特に、外装カーテンウォールやサッシのガラス廻りのシーリング材はシリコーン系シーリング材に替わって需要が伸びていくものと思われる。また、シリコーン系シーリング材への打継ぎが可能なことから新築だけでなく改修分野での採用など今後が注目されている。
 しかし、変成シリコーン系シーリング材と同じようにシーリング材の厚さが1mm未満の場合、薄層未硬化現象を起こす場合がある。薄層未硬化を起こすと中の可塑材が流されて汚れを呼ぶので、打ち継ぎ等施工に注意が必要である。また、メーカーによってはプライマーが太陽光線などによって黄変する場合があり、マスキングテープからのはみ出しには注意が必要となる。
 また、合せガラスの中間膜であるPBV膜(ポリビニルブチラール)やEVA膜(エチレンブチルアセテート)と接触すると、ポリイソブチレンに含まれる可塑剤が中間膜に移行して、膜の変色や曇りが発生する場合があり、合せガラス部への採用には特に注意が必要である。



[竹中工務店 設計部 豊永秀男]