■第77回■ バイオマス

生物資源( bio )の量( mass )を表す概念で、エネルギーや物質に再生が可能な動植物から生まれた有機性の資源で、石油、石炭等の化石資源を除いたもの。具体的には、農林水産物、稲藁、もみがら、食品廃棄物、家畜排泄物、木屑などを指す。

バイオマスを燃焼すること等により放出される CO2 は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収した CO2 なので、バイオマスは、ライフサイクルのなかでは大気中の CO2 を増加増加させない特性をもっている。よって化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつである CO2 の排出削減に大きく貢献することができる。また、化石資源はライフサイクルのなかで、再生することができず有限の資源であり、循環利用できるバイオマスの利用は、取り組まなければならない課題である。

バイオマスの主なものは、廃棄物として処分され、廃棄物系のバイオマスは、国内廃棄物の約6割を占めている。食品廃棄物は90%が再利用されずに焼却・埋立て処分され、木質系廃棄物の林地残材はほぼ未使用となっている。

バイオマスは、エネルギーや製品として様々な用途に利用でき、家畜排泄物等を原料としてメタンガスを生成するメタン発酵、廃食用油からバイオディーデル燃料を作り出すエステル化、バイオマスを直接燃やすのではなく、一旦、ガス化や液化する技術等が開発中である。また微生物により分解される、生分解性プラスチックやなどの製品も生産が開始されており、今後の用途と需要の拡大が期待されている。

[奥村組建築設計部 五宝久充]