簡単に言ってしまえば、素材そのものなのであろうと思うが、改めて考えるとその答えは思いのほか奥の深いものであると言えるのではないだろうか。 建築の各部分において、たとえば「本物の和室」とはと問われると即座に答えが出てこない。時代の変遷・生活様式の変化など、様々な要因によってその形体は変化していくものだから、もともとそのものの持つ意味合いが変化し、本来の意味からかけ離れ、違った意味合いが定着し、あたかも最初からそうであった様に語られる。では、それは本物ではないのかと言うと本物なのであろう。 本物とはなんだということは人間であれ物であれ、そのものが1つの存在として自他共に認められることではないのだろうかと考える。本物を求めるということは実に興味深いことで、普段何気なく見過ごしてきたことに目を向ける実に良いきっかけではないだろうか? さらに、次のことに興味・疑問が沸いてくる。「偽者」って・・・・・。 [建築情報センター委員会 田中克之] |