“地球・Earth”の“E”をとり、さらに、地球規模で地震災害を”防ぎ”人類の生命・財産を”守る”(=Defense)を意味する、「E−ディフェンス」。これは、自然防災のための研究開発に取り組む、独立行政法人 防災科学技術研究所・兵庫耐震工学研究センターの「実大三次元震動破壊実験施設」のニックネームです。多くの構造物が大被害を受けた阪神・淡路大震災の教訓から、実大規模の構造物の地震時の挙動、破壊性状を解明するとともに、現在推し進められている耐震補強の効果も検証する必要性があることから、E−ディフェンスが計画されました。平成17年3月に完成した世界最大級の震動台実験施設で、最大1200トンの実大規模の建築・土木構造物に対し、実際の地震波と同様の上下・水平2方向の三次元の揺れを与えることが可能な設備を備えています。この震動台は大きさが15m×20mで、大地震の変位・速度・加速度を再現する能力を有し、世界最高水準の性能が確保されています。既に、実大の鉄骨構造架構、鉄筋コンクリート構造架構および木造家屋の震動実験などが実施され、阪神・淡路大震災で観測された地震波の再現などにより構造物の大地震時の挙動を把握しています。“Earth”の“E”の如く、地球規模の世界中の研究者により施設が利用され、その成果が、世界中の構造物の耐震性能の向上に寄与することが望まれます。
[建築情報センター委員会 阿波野昌幸] |