■第91回■ シナジー(synergy)

 阪急と阪神の経営統合などに際してよく言われるようになったシナジー効果とは、経営の相乗効果を意味する経営用語であるが、もともと「共に」を意味する「syn」と「働く」を意味する「ergy」が合わさってできた言葉である。化学の世界では分子等の構成要素1に別の構成要素1を加えて合成物の数量が2以上になることをシナジー効果と呼んでいる。アメリカの数学者・建築家バックミンスター・フラー(1895〜1983)は、「部分を構成するどんな下位にある部分を考察することによっても予測できない全体として達成された機能」を「シナジー」と定義し、エネルギー論という意味の「エナジェティックス」とが融合した「シナジェティックス」という概念を提唱している。又、アメリカの心理学者A.H.マズロー(1908〜1970)は、「シナジーとは、利己主義と利他主義、あるいは利己主義と愛他主義という二分法が解消された状態」と定義している。ほんもののシナジーがあれば、わがままをとおしながらも他の人を幸せにし、そのことを楽しむことができるということである。しかし、「勝ち組」「負け組」が論議される時代において、あまりに理想的な考えに過ぎるという声も聞こえてきそうであるが、仕事を通じて自己実現した人々の中にはみごとにシナジーを発揮した現実があることも確かである。

[建築情報センター委員会 青山昭治]