■第96回■ 建設マネジメント

 土木・建築は我々の生活基盤の根幹を支えてきました。市民生活の利便性はもちろん、安全と安心を提供しています。しかし、その構築の過程においては厳しい状況におかれています。建設業は地球温暖化に影響を及ぼすCO2を最も多く産出する可能性が高い産業の一つであり、京都議定書発行からは環境負荷の低減のみならず、建設構築物が建設・維持運用・廃棄されるまでの「ライフサイクル(コスト)」の最適化まで求められ始めています。
  また、社会環境でも国際化、少子高齢化と省資源化への要求により公共事業費の削減と社会資本整備費のコスト低減、資源のリサイクル利用など環境変化への適応のため、小手先ではない構造改革を要求されています。その変化・改革の道は、旧来の「良く・安く・早く」と施工段階・個々の合理性追求だけでは構築できません。
  そこに登場したのが「建設マネジメント」の考え方です。それは建設生産を企画、調査、設計から建設、維持管理から廃棄に到るまでを一連として捉え、建設生産に経営資源(人・物・資金・技術・情報)をより合理的に投入使用する方法と内容を明らかにするものです。これからの環境・社会の変化への対応に期待が高まりますが、それに係わる人の資質の構築にはコストと時間が掛かること、建築の社会的影響が益々大きくなることを忘れずに適正なバランスをもって活用する必要があります。

[建築情報委員会 水間 茂]