従来、金属の光学素子への応用は、反射鏡や回折格子などに限られていましたが、近年ナノテクノロジーの急速な進展でプラズモンを思い通りに操れる結果、応用範囲が広がり、ナノ光源、ナノ導波路、光スイッチング、光増幅、センサー、等々のナノフォトニクス素子の実現に寄与することが可能です。 また、プラズモンは電子本体が動く速度よりも速く伝わるので、従来の電子回路よりも桁違いに大量のデータを高速伝送する道が拓けます。実験室では、光信号をプラズモンの形でナノサイズのワイヤーに押し込め、高速伝送することに成功しています。 応用は、コンピューターにとどまらず、医療分野ではナノシェルという超微粒子に光を照射し、プラズモンを発生させ、腫瘍を破壊する治療法の研究が進んでいます。発光率の高いダイオード、高感度センサーなどが有望視されています。 金属ナノと光が生み出す現象は、無限の可能性を秘めており、次世代の光科学技術と言えます。 [建築情報委員会 五宝 久充] |